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大手時計メーカーやブランドは、スムーズに作動する機械のように思われがちであるし

新しいダイヤルや新しいケース素材を反復的なものと見なすのは簡単だが、新しいオデュッセウスにそのようなレッテルを貼るのはフェアではないと私は心から信じている。大手時計メーカーやブランドは、スムーズに作動する機械のように思われがちであるし、多くの点でそうなのだが、忘れないでほしいのはオデュッセウスはまだ3代目だということである。A.ランゲ&ゾーネはまだ、このコレクションに最適なものを模索している最中なのだ。今回のリリースで見られたアップデートは、注目を集めるにはまだ十分とはいえないが、潜在的な購入者(私はそうではないが、インターネット上で購入者になったつもりでいる)に大きな影響を及ぼすほどには顕著であると思われる。

2022年 A.ランゲ&ゾーネ新作 オデュッセウス 363.038

オデュッセウス
Ref:363.038
ケース径:40.5mm
ケース厚:11.1mm
ケース素材:ホワイトゴールド
防水性:最大12bar(120m)
ストラップ:ダークブラウン(縫い目グレー)の手縫いレザー、ホワイトゴールド製ピンバックル
ムーブメント:自動巻き、Cal.L155.1 DATOMATIC®(ランゲ自社製)、50時間パワーリザーブ(完全巻上げ状態)、毎時28,800振動、31石
仕様:時・分・ストップセコンド機能搭載スモールセコンドによる時刻表示、アウトサイズデイト表示および曜日表示、ゼンマイ巻上げおよび時刻調整用ねじ込み式リューズ、曜日および日付修正用ボタン2個、真鍮製グレーダイヤルの一部に放射溝模様、ロディウム仕上げのゴールド製アプライドインデックス

チタン製のオデュッセウスは、過去のモデルと同じムーブメント、同じプロポーション、同じねじ込み式リューズ、ブレスレットには同じ微調整可能なセーフティバックルを備えている。つまり、3年前にA.ランゲ&ゾーネが確立した全体的なデザイン言語とほぼ同じなのだ。機能面では、3時位置のリューズの両側にあるふたつの一体型プッシャーで、ビッグデイとビッグデイトの窓を操作することができる。また、ソード針や、ファセットが施されたアワーマーカーには、スーパールミノバがふんだんに使用されている。

搭載するキャリバーはL155.1 DATOMATICである。これはA.ランゲ&ゾーネが製作した唯一の2万8800振動/時のムーブメントであり、テンプコックではなくテンプブリッジを採用しており、スポーツウォッチとしての耐久性を高めるためにふたつの決断がなされている。正直なところ、一体型のブレスレットとフル回転ローターの組み合わせでは、ムーブメントの全体像を把握するのが難しいのが残念である。ルーペを近づけて観察するのは不可能に近い。この不満を簡単に解決する方法がないのはわかっているが、A.ランゲ&ゾーネの標準的なシースルーバックではムーブメントを自由に見ることができるのである。

オデュッセウス第3弾について論じるに値する最後の問題は、価格である。なんと709万5000円(税込)という高価な金額がつけられているのだ。価格を追跡している人のために説明すると、この数字は、SS製の初代オデュッセウスが2019年に発売されたときの341万円(SS製のオデュッセウスは現在、421万3000円とかなり上がっている)よりも370万円ほど高く、2020年の発売時に480万7000円であったホワイトゴールド製のオデュッセウスよりも約230万円ほど高い(すべて税込)。

高級時計の記事を書くことを生業としている私でさえ、このような矛盾に泣きたくなるほどだったが、展示会の最中にそんなことをするわけにはいかない。もちろん理解し難いことではあるが、これはA.ランゲ&ゾーネ初のチタンウォッチであり、製造本数も250本とかなり限られているのは事実である。そして、単純な問題として、現在入手可能なチタンウォッチのなかで、これが最も印象的で完成度の高い時計である可能性がある。しかし、貴金属ケースのほぼ同型のモデルに対して、これほど高いプレミアムを払う価値があるのだろうか? なんとも言えない。

しかし私の目から見ると、これは今まで発表されたオデュッセウスのなかで間違いなくもっとも魅力的である。

そういうわけで、オデュッセウスコレクション全体(もしかしたら、限定ではないチタンモデルに新しいダイヤルカラー、複雑でないケースの装飾なら、値段がもっと安くなるだろうか。頼むよ、サンタさん!)と、そしてA.ランゲ&ゾーネによるケース素材としてのチタンの活用の両方について、次に何が起こるかを見るのが本当に待ち遠しい。


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