腕時計の最前線で活躍するジャーナリスト3人が、2021年の新作からイチオシモデルをリコメンド! 昨今では時計のケース素材のバリエーションもすっかり豊富になりましたが、素材変われば印象変わる、という好例が揃いました。
差がつく腕元の秘訣は“新素材”にあり?
腕時計のケース素材といえば、長らくゴールドやシルバーが主流でした。しかし、近年では新たなメタル素材やカーボンも一般的になり、表面に施す加工も多種多様です。各メーカーも独自に配合したメタル素材を打ち出していますしね。
今まさに、ケース素材は腕時計の進化の最先端を走っているのです。というわけで、3名の時計ライターにオススメを選んでいただきました。
ひと味違った素材で腕元を差別化してみませんか?
◆ 福田 豊が選んだのは……
チューダー「ブラックベイ フィフティ-エイト 925」
1958年の歴史的モデルのデザインを踏襲したヴィンテージ感と小振りな39mm径が人気のブラックベイ フィフティ-エイトの特別な新作。最大の特徴は、ケース素材にシルバー925を使用したこと。そのため、シルバーアクセサリーのような独特の重量感と風合いが愉しめるのが魅力です。
一方、シルバーでありながら、黒く酸化しにくい、というのも特筆点。「インカデセントシルバー」と呼ばれるシルバー合金だそうで、独自の配合比率により時を経ても美しさを保持する性質があるとのこと。
では、まったく色が変わらないのか、それとも少しは味が出てくるのか。その辺りの詳細は不明で、でもそういう未知の部分も愉快。「チューダー」のダイバーズで初のシースルーバックというのも特徴です。
◆ 鈴木裕之が選んだのは……
オメガ「シーマスター 300 ブロンズゴールド」
経年変化によるエイジングカラーを愉しむ素材として、近年大きな注目を集めているブロンズ。しかし「オメガ」は、ブロンズ素材にもハイブリリアンスとサステナビリティを求めました。
「オメガ」が特許を出願しているブロンズゴールドは、組成的には往年の9Kゴールドに近く、色味は18Kムーンシャイン™ゴールドと18Kセドナ™ゴールド(どちらも同社の独自素材)の中間にあたります。
この新素材を初めて導入したモデルがシーマスター 300 ブロンズゴールド。歴史的な本格ダイバーの血を受け継ぐスタイリングに、ニュートラルな色味が良く似合います。サンドイッチダイアルにもブロンズゴールドを導入し、特殊なエイジング処理を施すことで、ダークブラウンに仕上げています。
◆ 篠田哲生が選んだのは……
ウブロ「ビッグ・バン インテグラル トゥールビヨン フルサファイア」
さまざまな素材を取り入れる戦略は、そもそも「ウブロ」が始めたもの。素材によって異なる質感や光沢感を組み合わせて、新しい時計表現にしたのです。
今ではこの戦略を多くのブランドが採用していますが、「ウブロ」は常に先頭を走り続けます。このモデルはケースやブレスレットだけでなく、ムーブメントの地板もサファイアクリスタル素材で出来ており、完璧なスケルトンウォッチになりました。
しかも全体が美しく統合しているので、前衛的な時計でありながらデザインに違和感がないのも見事。ダイヤモンドに次ぐ硬さのサファイアクリスタルを、完璧に加工する技術も驚異的。華やかなイメージが強い「ウブロ」ですが、仕事の丁寧さも業界トップクラスなのです。