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【ドイツ時計を深掘り】A・ランゲ&ゾーネの最新直営店がオープン!

1845年、グラスヒュッテに時計産業を興したアドルフ・ランゲ。彼が興したA.ランゲ&ゾーネは、いまなおグラスヒュッテの市街地にあり、ドイツで最も優れた時計を作っている。しかしその歴史は必ずしも順風満帆とはいえなかった。高品質の懐中時計で名声を轟かせるが、第1次大戦後のインフレで経営は打撃を受け、第2次大戦後にはGUBに吸収合併されてしまった。ドイツ統一後の1990年に独立を果たしたものの、時計を生産できるようになったのは実に94年のことである。

2020年 A.ランゲ&ゾーネ新作 ランゲ1・タイムゾーン 136.029

ランゲ1・タイムゾーン
Ref:136.029
ケース径:41.9mm
ケース厚:10.9mm
ケース素材:ホワイトゴールド
ピンクゴールド ストラップ:手縫いのダークブラウン、ホワイトゴールド製ピンバックル
ムーブメント:手巻き、Cal.L141.1(ランゲ自社製)、72時間パワーリザーブ(完全巻上げ状態)、毎時21,600振動、38石
仕様:時・分・秒表示、ホームタイム表示およびゾーンタイム表示それぞれに専用デイ・ナイト表示、ストップセコンド機能搭載スモールセコンド、第二時間帯設定用24都市リング(サマータイム対応)、ホームタイム対応アウトサイズデイト表示、パワーリザーブ表示AUF/AB、サファイアクリスタル風防(モース硬度9)、ブラックカラーのシルバー無垢ダイアル

復活から30年ほどしか経っていないA・ランゲ&ゾーネ。しかし、ドイツのあるブランド調査ではメルセデスやBMWを抜いて1位にランクされている。ではA・ランゲ&ゾーネは、どうやってかつての名声を取り戻したのか。その答えがグラスヒュッテの工房にある。
そもそも安価な時計と高価な時計の違いは、手作業の割合の違いである。一般的には、手作業が増えるほど人件費がかさみ、そのぶん値段は高くなる。では手作業が増えるほど、時計の出来は良くなるのか。必ずしもそうとはいえないから時計は面白い。

しかしグラスヒュッテの街は、アドルフ・ランゲが見いだし、その後時計産業の地として成長してきただけあって、一般的に手先の器用な人が多いとされる。そんな環境にあって、グラスヒュッテの祖ともいえるA・ランゲ&ゾーネに、優秀な人材が集まるのは当然だろう。
そんなA・ランゲ&ゾーネらしさを特に感じさせるのが、ムーヴメントの仕上げ部門だ。A・ランゲ&ゾーネがムーヴメントの地板(土台)と受け(屋根)に使うのは、一般的な真鍮ではなく洋銀(ジャーマン・シルバー)である。真鍮を使う場合、高級時計はいったん真鍮にロジウムメッキをかけてしまう。対してA・ランゲ&ゾーネは、生成りの洋銀をそのまま用いる。理由は、酸化すると少しずつ金色を帯びていくためだ。いわば経年変化を楽しめる素材だが、弱点はある。組み立てや仕上げの際に肌が当たると、身体の脂で曇ってしまうのだ。つまり生成りの洋銀を使えるということは、仕上げや組み立て担当者の技量が高いという証拠でもある。ただし仮に職人の技量が高くても、洋銀には無視できない弱点がまだある。それが天気だ。天候によって仕上げの出来が変わってしまうため、納期を正確には決められないのだという。にもかかわらず、A・ランゲ&ゾーネは洋銀製の受けと地板を採用し続けている。もともとは19世紀のアメリカ向けに採用された素材であったが、いまやA・ランゲ&ゾーネを含む、ドイツ製時計のアイコンになろうとしている。

このように、ドイツ時計界を牽引しているA・ランゲ&ゾーネ。2022年4月1日、日本橋三越本店 本館6階ウォッチギャラリーにあるA.ランゲ&ゾーネ ブティックが、国内3店舗目の直営ブティックとして生まれ変わるため、その詳細をお伝えしていきたい。

伝統と新たな文化が共存する街である、東京は日本橋。そのシンボルである日本橋三越本店。その本館6階にあるウォッチギャラリーで時計愛好家から愛されているA.ランゲ&ゾーネが、銀座、伊勢丹新濁店に次ぐ国内3店舗目の直営ブティックとして生まれ変わる。
今回この直営化を記念して、予約の上来店すると先着で、記念品がプレゼントされるという。

直営ブティックでは、人気モデルや最新モデルが充実。時計愛のあるスタッフが、しっかりとアテンドしてくれる。この新たな直営ブティックに足を運んでみてはいかがだろうか。

また、同店を含めた国内5店舗では、2022年4月30日(土曜)まで“スプリングキャンペーン”が開催される。このキャンペーンでは、期間中に時計を成約すると、特別なギフトがプレゼント(数に限りあり)されるようだ。

ドイツの時計業界をリードする同ブランドの世界観を、新しい直営店で感じてみてはいかがだろうか。

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